〜〜〜 くらさんのふらっと散歩 〜〜〜 No.073 横谷峡〜黄金姫伝説と四つの滝 (2013.06) |
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■皆さんは「黄金姫伝説」をご存じであろうか。秘宝の黄金鶏の行方を探し鶏鳴滝へ辿りついたと云われる黄金姫の話である。実は私もこの記事を作るまで知らなかった。 毎年行われている「ゆ会」で下呂温泉に行く途中で立ち寄った横谷峡に、その黄金姫伝説ゆかりの滝があった。 |
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■飛騨川の支流である馬瀬川に注ぐ横谷川の入り口から峡谷沿いの散策山道を約1kmたどると、下流から順に @白滝(しらたき/落差17m) A二見滝(ふたみたき/落差9m) B紅葉滝(もみじたき/落差9m) C鶏鳴滝(けいめいたき/落差33m) の4つの滝が、約1.3kmの間に点在し、飛騨木曽川国定公園に指定されている当町の代表的景勝地である。 鶏鳴滝には、その滝の名前の由来となる鶏と黄金姫(こがねひめ)伝説が残っている。 いずれの滝も整備された道沿いにあり、気軽に滝つぼまで行くことが出来る。 (下呂ナビから転載) |
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■@白滝(しらたき/落差17m) |
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■A二見滝(ふたみたき/落差9m)
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■B紅葉滝(もみじたき/落差9m) |
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■C鶏鳴滝(けいめいたき/落差33m) |
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■黄金姫伝説 今からおよそ九百年も前。郁芳(いくほう)と呼ばれる御殿に、都で一番器量の良い官女が、金色に光り輝く鶏とともに暮らしていた。 この鶏は、さらに千五百年も前に天竺(インド)一の名工が作ったもので、まばゆいほどの黄金づくり。胸の中には、お釈迦様の書かれた経文を埋め込んで仕上げられていた。
それが大陸から都へやってくると、天皇はその姿がお気に召され、ご自分の宝物になさった。そして、郁芳の御殿にいる官女に預け、大切に守るようにお言い付けになった。 官女は、この鶏を奥の仏間に置き、かたときも離れないで見守っていた。 静かな日々が続くと、鶏の輝きは辺りを金色に染めるようになった。 もちろん、優しくしてくれる官女の体までも…。 官女は、いつしか都の人たちから「黄金姫(こがねひめ)」と呼ばれるようになった。
金色の鶏には命があった。元日の朝がくると決まったように羽音もなく飛び立ち、御殿の屋根に降り立って、初日の空に向かって声高く新年を告げるのであった。 ところが、不思議な鶏は、姫を苦労のどん底へ引き込んでしまう。都に戦がおこり、その最中に迎えた元日の朝。御殿の屋根で天に届くほどの声を張り上げると、真っ赤に焼けた空のかなたへ飛んで行ってしまったのである。 御殿の戸を開け放って祈る気持ちで待ち続ける姫のもとへは、いく日たっても帰ってこなかった。
「天皇のお嘆きを思うと、命に代えてでも行方を捜さなければ申し訳がない」。 姫は心を決め、鶏の姿を求めて出掛けた。しかし、都の中をいくら捜しても見つけることはできなかった。 姫は比叡(ひえい)の山寺を訪ねた。そして小さな観音堂を借りると中から扉を固く閉ざし、二十一日間飲まず食わずに過ごす「願かけの行」に入った。 すると、満願の日の冷え冷えした夜明け、うつろな姫の目の前に観音様がお立ちなって、 「今から、東に向かって旅立ちなさい。年が暮れるころには飛騨への道に差し掛かります。その辺りの深い谷には大きな滝が鳴り響いているはずです。きっとそこで、あなたの願いはかなうでしょう。つらい日が続くでしょうが、くじけてはなりません。」と、優しくおっしゃった。
姫は、黒髪を短く切り白い旅の姿になると、観音様のお言葉を信じて都をたった。 それから百日ほど過ぎた。年の暮れらしく、すす払いをしている家も多い。姫は心も体も疲れ果てていた。ときには、野宿のまま深い眠りに誘い込まれそうになったが、そんなときは、ふと浮かんでくる観音様のおかげで我に返るのだった。
ある夜明けのことである。先を急ぐ姫が坂梨というところの山道を登り切ろうとしたとき、目指す尾根のかなたから、忘れもしないあの鶏の声がかすかに聞こえてきた。姫は息をのんだ。我を忘れて一気に登りつめた。すると、目の下には深い谷があった。足元を揺らすような水音が、冷たいしぶきを吹き上げてくる。 姫は、「この下は、あの滝に違いない」と弾む心を押さえながら待った。 姫はひるまなかった。滝の上のふちに近付くと、凍り付くような水の中へ飛び込んだ。 何回も水をかぶり、滴る水をぬぐおうともせず、滝の頭で両手を合わせて声を限りにお経を唱え続けた。 すると、にわかに滝が輝き始め、その中からあの黄金の鶏が飛び立った。がけに鳴き声を響かせながら、姫の周りを大きく一回りすると、瞬く間に滝の帯へと吸い込まれていった。 やがてその輝きが消え辺りが静まりかえると、滝つぼの上に大きく美しい観音様が現れた。そのお姿は、あの黄金の鶏の輝きに包まれているではないか。そう、姫の捜す鶏が、この美しい滝の守り主、清流観音となっておられたのだった。
それが分かると、姫の体から急に力が抜けた。しかし、見届けたことを一日も早く天皇にお知らせし、お許しを願わなければならない。疲れをいやす間もなく、再び長い旅に出ようとした。だが、既に、姫は病に侵されていた。ふらふらした足どりで坂梨川の外れに来ると、そこにばったりと倒れた。そして、村人の手厚い看病のかいもなく息を引き取ってしまった。村人たちは、姫が倒れた小高い丘になきがらを葬ると、そこを「姫塚」と名付け一本の碑を建てて弔った。その夜、一羽の金色の鳥が、姫塚から西の空のかなたへ悲しい羽音をさせて飛んで行ったという。
そのころから、横谷川の大滝では、元日の明け方になると鶏の声がかすかに聞こえてくるといい、その滝を「鶏鳴滝」(けいめいたき)と呼ぶようになった。また、滝の下の谷川には姫がみそぎをしたというふちがあり、あわれな姫をしのんでそこを「黄金ぶち」(こがねぶち)とも呼んでいる。 (下呂ナビから転載) ■データ 住所:岐阜県下呂市金山町金山(白山地内) アクセス:国道256号沿いの「道の温泉駅かれん」から郡上八幡方面へ1.4キロで入り口。 TEL:0576-32-2201 駐車場:白滝20台(マイクロバス可)、鶏鳴滝10台(大型不可) |
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